安全保障論

安全保障とは、ある集団が生存や独立などの価値ある何かを、何らかの脅威が及ばぬよう何かの手段を講じることで安全な状態を保障することである。

国際連合と安全保障

国際連合第二次世界大戦終結後の国際社会の秩序を安定させることを目的として、創設された集団安全保障体制である。(詳細は国際連合を参照)
集団安全保障体制は、構成国は武力行使を原則行わず、外交交渉によって問題を解決し、万一構成国が違反して武力行使を行えばその他の体制の構成国が協力して軍事力も含めた制裁措置を行うことによって、国際秩序を安定させる体制である。

国連軍
国連軍とは国連憲章に基づいて安全保障理事会の要請を以って武力制裁を実施する軍隊である。ただし、冷戦の米ソ対立によって国連の機能不全が起こったため、現在に至るまで存在しない組織である。

国連平和維持活動
国連平和維持活動と(PKO、peace-keeping operation)は国連の集団安全保障体制が米ソ対立という時代背景により冷戦期には機能不全になっていたために代替案として発達した紛争管理の活動である。代替案として発展したものであるため、国連憲章国連によって公的に定義されたことはない。(詳細は平和維持活動を参照)
基本的に平和維持活動は紛争当事者が停戦に合意し、かつ活動への合意を得ることが前提で、中立的な立場によって実行される。具体的には小規模の平和維持軍(PKF)や軍事監視団などを派遣し、選挙支援や治安維持、兵力引き離しなどの機能を果たす。武力制裁などの任務を担うことはなく、あくまで非強制的な範囲で平和状態を支援する。

◯ガリ構想
1992年6月17日、国際連合事務総長のガリ(ブトロス・ブトロス=ガーリ)は、ガリ構想の中で5種類の平和機能を提示した。

1.予防外交(注:予防外交の定義は50以上存在し、明確な定義は無い)
2.平和的手段による平和の創造(紛争を平和的な手段を用いて平和的に解決する)
3.強制的な措置を施し、平和を創造する(平和強制)
4.平和維持(停戦など)
5.紛争後の平和の建設、構築

以上の5種類の平和機能の内、国連が(正当性、不当性を判断して)関与するのは「強制的な措置を施し、平和を創造する(平和強制)」のみである。
これは国連憲章第六章及び国連憲章第七章の理念を合わせて提言した物であるが、数多くの国々や有識者から批判を浴びた。批判の多くは、平和強制によって国連が介入先の国家主権を無視する事に関して、より「積極的」になる事に比重が置かれた為である。
よってガリ構想が示した平和強制部隊(Peace enforcement units)は多くの人によって問題点を指摘され有効性が疑問視され、1994年にはソマリアにおける紛争などの解決に失敗したため、今後は行わないことをガリ自身が宣言した。

 

参照元Wikipedia安全保障論